自己破産は借金による経済的困窮から回復する最終的な債務整理方法です。それまでの借金が帳消しになるという絶大な効果がある一方、財産はほとんどなくなってしまいます。また、破産者になってしまうことによる社会的ダメージも少なくありません。このことから、自己破産するのを躊躇し、自己破産できるタイミングすら逃してしまう人もいます。自己破産を行うのに最適なタイミングとはいつなのでしょうか。今回はこのタイミングについて、さまざまな側面から検証してみたいと思います。
目次
どんなときに自己破産するべきなのか
債務整理の中では最も強力な借金減額効果がある自己破産ですが、借金を抱えている人が誰でも利用できるわけではありません。自己破産をするべきなのは、返済額を支払うことができないときです。ここでは借金の額は関係ありません。支払い不能かどうかの判別方法や、具体的にどんなケースで支払い不能となるのかを見ていきましょう。
支払い不能かどうかの判別方法
支払い不能かどうかの判別をするときは、抱えている借金の利息に注目します。返済に充てられる金額が、利息の合計と同じくらい、もしくは下回っている状態を支払い不能と考えることができます。この状態では利息を払うのに精いっぱいで、借金の元金は一向に減っていかないからです。返済に充てられる金額は、収入から基本的な支出を差し引くことで割り出すことができます。
債務を抱えたまま収入が途絶えたときは自己破産を検討すべき
自己破産をすべきタイミングは支払い不能の状態に陥ったときです。このことを考えると、何らかの原因で収入が途絶えてしまったときは速やかに自己破産を検討すべきといえます。収入がある前提なら返済の見通しが立っていたかもしれませんが、無収入では難しいでしょう。収入が途絶えた原因が病気などであれば、再度収入がある状態にすることもすぐにはできないかもしれません。したがって、債務がある状態で収入がなくなれば、その段階で自己破産に向けて行動すべきです。
自己破産の注意点
「破産者」というイメージを考えると、自己破産は積極的に行いたい手続きではありません。そのことから手続きに二の足を踏んでいる債務者も少なくないようです。しかし、躊躇しているうちに手遅れになってしまうこともあります。支払い不能になった時点で自己破産を検討するべきなのはもちろんですが、早い段階から視野に入れておいて損はありません。
自己破産するのにもお金がかかる
借金を帳消しにできる自己破産ですが、手続きが無料というわけではありません。通常は弁護士の援助を受けて手続きを行っていくことになるので、当然弁護士費用が掛かってきます。そのため少なからず経済的な余裕がある段階で自己破産を視野に入れるべきといえるでしょう。さもなければ、弁護士費用を捻出できず自己破産すらあきらめざるを得ない、という結果になってしまいかねません。自己破産の手続き自体は個人でも可能であり、その場合は費用をかなり削減することができます。しかし、債務者が被る負担も少なくありません。
自己破産は任意売却の後に
自己破産へと追い込まれる原因の代表的な例が住宅ローンです。住宅をはじめとする財産を持っている状態で自己破産を行うと、債務者の財産を換金し債権者へと分け与えられます。この手続きは非常に時間がかかり、実際に借金が帳消しになるまで半年から1年程度の期間を要します。また、裁判所への予納金が発生してしまうので、費用面でもリスクが大きいのです。一方、財産を債務者自身の手で売却していた場合、このようなプロセスを踏む必要はありません。そのため住宅、その他の財産は自己破産の前に債務者自身の手での売却、任意売却を行なった方がベターです。
自己破産後も残せる財産
自己破産をしても生活を送れるように、ある程度の財産は売却されず手元に残すことができます。原則として総額99万円以下の物品、現金、預貯金といった財産は残すことができるのです。物品に関しては生活に必要な品物であり、売却額が20万円を超えない、ということが条件です。
早い段階で専門家に相談を
自己破産に最適なタイミングは、なかなか素人では図れないものです。やはり、弁護士、法律相談所、法テラスなど専門家の意見を早い段階で仰いでおいた方がいいでしょう。法律のプロに相談すれば、間違いのないアドバイスが得られるはずです。
場合によっては任意整理、個人再生など自己破産以外の解決方法も提案してくれるかもしれません。初回の相談を無料で行っている弁護士事務所や法律相談所もあります。他の債務整理で状況が回復できるならそれにこしたことはありませんので、専門家に状況を判断してもらうといいでしょう。